Learn from Experience & Letter
経験者から学ぶ&交換留学派遣生からの便り

松下 優

アメリカ

頑張りすぎない留学生活

松下 優さん

人文学部 人文学科
留学期間:2024年8月~2025年5月
留学先:カリフォルニア州立大学サクラメント校

留学先大学について

私が留学したカリフォルニア州立大学サクラメント校には、大きく分けて2つの特徴があります。ひとつは町の利便性が高いことです。西海岸に位置するサクラメントは、人口50万人程度の中規模の都市ですが、いわゆる「地方都市」という感じで、暮らしていく上で不便さは感じませんでした。なんでも大学の学生証を持っていれば、サクラメント市内のバスには乗り放題で、どこへ行くにもひとりで行けます。なので、キャンパス内のレストランが閉まっているときなんかは、近くのマーケットまで行って買い出しをすることもできました。それに加えて、少し足を伸ばせばOld Sacramentoという昔のサクラメントを感じられる観光地に出向くこともできます。サクラメントは元々カリフォルニアのゴールドラッシュで栄えた土地なので、炭鉱や大陸横断鉄道の名残など、西洋の歴史を感じる街並みを堪能することができます!おまけにそこではサクラメント名産のお菓子やファンシーな雑貨などがたくさん売っているので、お土産を買うにももってこいの街でした。かと思えばキャンパス周辺は緑豊かで、キャンパス内もたくさんの木が植えられていたり、近くにはAmerican Riverという川があったりなど、自然と都市のバランスがちょうどよく取れていた都市でした。

2つ目は、「日本人留学生への待遇の手厚さ」があります。サクラメントは、西海岸ということもあり日本人が比較的多い都市でもあります。そのため、日本について研究している教授がいたり、Japan Clubという日本文化に興味のある学生によって作られたサークルがあったりなど、日本人にとって行きやすい留学先となっています。それもあってか、日本人留学生も多く、私が行った年は、私を含め10人ほど日本人留学生が来ていました。当然留学に来ているからにはその国の文化を学ばなければなりませんが、やはり日本人の友人がいると心強さがあります。現地の友人も、Japan Clubを通して作りやすかったため、留学を楽しむためにも、ちょうどいい都市だったなと感じます。

学習面について

学習面では、基本的に講義形式の授業をメインとして取りました。ただ、信州大学のように教員が話しっぱなしの授業スタイルではなく、ディスカッションが授業の1/3ほど占めていました。特に印象に残っているのは、アジアの現代アートに関する授業で、基本的に教員がアジアの著名な現代アーティストを紹介していく、という内容だったのですが、その途中で「この絵から読み取れることは何か」など、問いを立て、それに学生が自由に答えるというものでした。個人的にネイティブ同士の会話に混じっていくのは難しかったので、話している内容を聞くだけでしたが、それでも日本よりも学生が積極的に発言できる環境だったため、ディスカッションに忖度がなく、聞いていて「なるほどな」と唸る発言も多々あり、聞いていて面白かったです。

加えて、ここは日本と変わりませんが、教員も学生のサポートに積極的でした。特に私は英語が母国語ではないので、授業で理解できなかったところが度々あったのですが、授業終わりに聞きに行くと親切に教えてくれました。どんな小さなことでも親身に付き合ってくれたので、学習面の大きな助けになりました!

ただ、ディスカッションが多すぎる授業は疲れて、履修を取り消してしまいました。先述したような、したい学生が自由に発言するスタイルならついていけたのですが、学生同士のグループワーク主体の授業には、どうしても興味よりストレスの方が勝り、うまくついていけませんでした。基本的に授業として出る分には、グループワークの多いディスカッションより講義形式の授業をおすすめします。日常会話をしたければその分友達と遊べばいいので、無理に自分を追い込まなくてもいいかなと思いました。

他には、個人的にマンガが好きなので、日本のマンガを研究している先生とお話しに行ったりもしました!倍率が高く、その先生のマンガについての授業をとることは叶いませんでしたが、それでもオフィスアワーに訪ねると気さくに話してくれて、とても有意義な時間を過ごせたと感じています。先ほど書いたように、サクラメントの教員はサポートが手厚かったので、仮に授業が取れなかったとしても自由に訪ねてお話しすることができたのが、とても留学経験としてプラスになったなあと感じています。

このように、学習面においてはすべてが楽しかったとは言い切れませんが、できなかった分いくらでも補完できたので、自分の中で納得のいく学習体験だったと思います!

生活について

私生活は、暮らしていく中で多々刺激がありながらも、次第に自分のペースと折り合いをつけられるように調整していきました。ここでは交友面、旅行面、食事面、プライベートにわけてお話します。

まず交友面ですが、こちらは先述したようにJapan Clubからの交友関係が主でした。英語力に自信がなかったので、積極的にそれ以外の友人が作れなかったのは悔やまれますが、なんだかんだそこの友達伝いで日本に全然興味のない友人ができたりもしたので、広がりのある交友関係を築けたかなと思います。それに、仲良くなった友達のなかで日本に会いに来てくれる、という友達もちらほらいて、とても嬉しかったです!特に信大はサクラメント校と提携しているので、交換留学でサクラメントから留学しに来てくれる友達がいたり、それとは全然関係なしに会いに来てくれたりする友人がおり、留学期間を超えてもつながる友人ができたことを考えると想像以上に充実した関係を築けたな、と思います!

次に旅行面ですが、こちらも非常に充実しました!というのは、サクラメントは主要都市にアクセスしやすい位置にあり、どの都市にも行きやすかったからです。すこし西側に行けばサンフランシスコ、同じカリフォルニア州内にロサンゼルスがあるほか、飛行機でニューヨークやラスベカスにも簡単に行けたので、行きたいところ大体行けたのはよかったなと思います。どこに行くにしても日本では絶対に見られないような光景ばかりで、非常に有意義な旅行を楽しめたかなと思います。特に印象に残っているのはニューヨークとラスベガスで、ニューヨークは都会なのですが、東京などでは見られない、レンガ造りのビルが立ち並んでいる区画があり、西洋風でおしゃれな都会を楽しめました。またラスベガスでは、カジノはいわずもがな、シルクドソレイユの講演を生で見ることができたり、レッドロックキャニオンという、日本では絶対に見られないような岩山を見れたのも貴重な経験でした。私自身映画研究をするゼミに入っていることもあり、ハリウッド映画でしか見られなかったような光景をふんだんに見ることができたので、そういう意味でもとても楽しめた旅行だったなと思います笑。

食事面は、やはりアメリカの食事、多くてデカくて太ってしまう食生活でした笑。特に印象に残っているのはハンバーガーで、さすがバーガー大国ということもあり、友達にいろんなハンバーガーレストランに連れて行ってもらいました。日本で食べられるよりも肉厚でジューシーなハンバーガーを堪能できたのがいい思い出です(ちなみにアメリカのマックは高いのに少なかったので、あまり人気はなかったです笑)。他にもアメリカならではの食事がたくさんあり、いろんな食文化に触れられたのもいい経験だったなと思います。

最後にプライベートですが、これは私自身「ひとりの時間」をなるべく多くとりたい性格だったので、無理のないように留学生活を調整していきました。留学生活は、たくさん現地の友達を作って、いろんなところに旅行に行って、というイメージが強いと思います。ただ、一年もいればだんだんその国の文化にも慣れてきて、新鮮味も薄れてきます。そうなると、一番大事なのは「自分の無理のないペースで留学生活を楽しむ」ことだと思います。私の場合、日本にいた時からひとりで映画を見たり読書をしたりするのが好きだったので、急にたくさんの人と関わりっぱなしになり、当初メンタルを崩しました。留学に行ったからといって急に性格は変わりません。そのため、結局留学中だろうがなんだろうが、無理しすぎずに自分らしくいよう、と調整していったことが結果的に留学を楽しめたのかなと思います。

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留学で得たこと

留学で得たことは大きく分けて「積極性」と「協調性」です。

まず積極性については、友達と関わったり、旅行したりすることで身についていきました。異文化の中では、日本とまるで常識やルールが違います。なのでわからないことがあれば、一人で悶々と抱え込むのではなく、積極的に人に聞くことが、その土地に馴染むための第一歩だと感じました。異なる言語ということもあり、最初は人に話しかけるのも抵抗があると思いますが、だからこそ勇気をもって積極的に話しかけていくことが留学生活を楽しむコツだと思います!

次に協調性ですが、これは個人的に大きく学びになったものです。というのは、日本にいるときは自分に合う人としか関わっていなかったので、あまり人に気を遣うということをしてきませんでした。しかし、留学生活を経て自分と価値観の違う人と出会うことで、相手がどういう人か、何を求めているかなど、慎重に耳を傾ける必要が出てきました。その結果、他者を理解しようとする姿勢から、恩を受ければ恩で返すことまで、幅広い協調性が身についたように感じます。最初は異文化理解のために意識していた「協調性」ですが、この姿勢は日本にいても非常に重要なものになるので、留学を通して得られて本当によかったと感じています!

後輩へのアドバイス

頑張らなくてもいいです!

英語の勉強しなくても、現地の友達と関わりすぎずとも、ちゃんと留学たのしめます!

よく留学といえば「英語力をなるべく高めておけ」「日本人じゃなく現地人とつるめ」など言われると思います。それはもちろん努力すべきことではありますが、それに囚われすぎると、人によっては辛くなってくると思います。ただでさえストレスの多い異国の地で、勉強やコミュニケーションを頑張りすぎると、いつかきっと限界が来ます。なので日本人がいれば普通に日本語でしゃべって仲良くなって、趣味があれば現地でも続けて、しっかりセーフティネットを作っておきましょう。自分のメンタルを壊さない程度に頑張っていくのが、長い目で留学を楽しむコツなんじゃないかと思います。

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